2016/09/24

かしこい介護者になろう

柔軟な発想で考えよう

なんだかよく分からない暗号のような数字があるという。128e980 なんだろうこれ?
128×√e×980を計算すると、何か意味のある数字が出て来るのだろうか?

日常生活では馴染みのない数字ですが、
e = 2.718281828459045・・・・
という数字定数があります。
超越数で、「フナヒトハシフタハシヒトハシフタハシシゴクオイシイ;鮒、一箸二箸、一箸二箸、至極美味しい」と覚えます。

手許に電卓がないので計算するのはやめて答えを見た。128e980の上半分を消すと、「I Love you」だと。文法としては、「Love」ではなくて「love]なのだけど、まあいいか。柔軟な思考力のない自分に笑った。


認知症医療は捨てたもんじゃない

高齢者にとって薬はどれも毒です。その毒のせいで絶望に追いやられるのではなく、賢く使って希望に変えていく能力を身につけなければなりません。薬は上手く使ってこそ薬であり、下手に使えばどんなに優れた薬でも毒。
「医者と薬は使いよう」賢くならないと、とてもではありませんが高齢者介護は難しいのです。

この講演では漠然としたきれいごとを語ってはいません。臨床に立ち、実際に認知症治療に携わっている経験から語っています。その中で、「これはおかしいよネ!」って疑問に思われることを具体的に説明しています。

この説明を通じて分かることは、不都合な真実には目を向けず、ある特定の既得権(認知症医療ムラの利益関係)に配慮したが故に生じる理論展開の矛盾が露呈しているということです。

詳しくは動画をご覧いただくとして、指摘の対象となっている実例を以下にあげておきます。

指摘1:認知症治療薬の副作用はそれだけですか?
一般に認知症治療薬(アリセプト、メマリー、レミニール、リバスタッチ、イクセロンパッチ)の副作用は、吐き気、下痢、目眩、眠気などとされています。これらには当然、個人差はありますが、易怒や興奮もまた生じることがあります。人によっては、怒りっぽくなって介護者を困らせる状態を生み出すこともあります。

この副作用の出現は極めて重大です。
分かり易いハナシ、要介護2の人が易怒や興奮のため手に負えなくなって要介護3になってしまった、ということが生じるのです。薬で要介護度を上げておきながら、その手当()として、介護費用を増すというのです。問題は費用増にとどまらず、介護者の負担も増加させてしまうのです。まったく無駄な医療費と介護費であり、理にかなわないことが公然と報じられているのです。

指摘2:不都合な真実を隠す方便は理論的に破綻する
専門医として認知症治療に携わっている医師による記事がある医療系雑誌に掲載されています。これは厚労省による通達(骨子は抗認知症薬の適量処方を認める)を受けての意見です(下図23番目に一部を図示)

この記事での理論展開は筋が通らず、矛盾があります。このことは先に紹介した動画をご覧ください。動画の中では露骨に言っていませんが、「製薬会社との関係を配慮するとホントのことは書けないです。私(記事投稿の医師)もその学会の役員ですし・・・」ということは認識しておかなければなりません。



「患者さんに合わせた用量設定は基本的には賛成」・・・たしかにその通りです。誰が考えても同じことを言うでしょう。しかし・・・



「この通達が悪用される可能性を憂慮」・・・悪用しているのは製薬会社。それに加担している学会、大学のエライ先生方でしょ! しかし・・・





患者・介護者に迷惑をかけない治療

認知症治療は中核症状である記憶機能の障害を改善することよりも、周辺症状を極力抑える治療が望まれます。人は年を取れば呆けてくるのは当たり前のことです。その呆けよりも、人が人らしく人生をまっとうするために必要な能力の維持にこそ治療の意味があるのです。



かしこい認知症介護者になろう

実践的認知症セミナーのお知らせ(詳しくはこちら→)
実践的認知症セミナーのお知らせ(詳しくはこちら→)



24時間経過後の傷
指を切ったら痛かった
調理中に左人差し指を深く切った。血が止まるまで約15時間。

圧迫止血さえも満足にできない自分にがっかり! 何も知らないことを知った。「病院に行って縫ってもらうレベルです!」と聞かされて驚いた。

2016/09/17

実践的な認知症治療は町医者に学ぼう

統計的有意が真実とは限らない

千差万別、十人十色の多彩な症状を呈する認知症には、統計で導き出された抗認知症薬の適量(?)が著効を示すとは限りません。患者個々の体質、体格、症状に応じた適量が最適なのです。



認知症の中核症状より周辺症状を治療標的にせよ

「認知症」=「記憶障害」 だから、中核障害の改善・進行抑制を狙った治療をすればいい?! こんな単純な思い込みで認知症は治せません。むしろ、介護上で困る周辺症状を抑える治療が大切です。
その勘どころ(コツ)は、下図の一番下の階層、即ち認知症患者の実際に一番近いところで認知症を診ている町医者が見つけ出すものです。




大半のメディアは認知症治療の本質を伝えない

NHKの認知症啓発番組や民放の情報番組で、認知症とその実践的な治療方法について報じることはほとんどありません。理由はいくつかあるのですが、主な理由は次の2点でしょう。
 理由1 スポンサー企業との関係を配慮する
 理由2 権威(製薬会社御用達学者)に弱い


かしこい認知症介護者になろう

「患者の持つ情報量が医師の持つ情報量を上回る時代である」(A. Muir Gray)
認知症医療過誤に巻き込まれないために、認知症介護者(家族・施設スタッフ)はかしこくなりましょう。認知症は診察室だけで治療(診断と投薬の種類と量)が完結するタイプの疾患ではありません。

介護者がどれだけしっかりと関わり合い、治療に関与できるかが重要です。医者が判断したこと、言ったことがすべて正しいとは限らないのです。医者がエビデンスを論拠にして一方的に治療について何かを言ったとしても、ナラティブを無視したやり方では期待する効果を得ることはできません。

だから、こういうセミナーで、実践的な認知症治療にあたっている医師から直接教えてもらって知識を習得するのが一番です。(詳しくはこちら→)




2016/09/09

第一印象は重視せよ


この症例は「CBS(大脳皮質基底核変性症候群)と気付くのに遅れました。但し、気付くと言っても推定でしかありませんが。
何故気付くのが遅れたかというと、図中の右のように、右腕を前方/上方に真っ直ぐ伸ばしたままで、左腕は曲げたままだからです。左側のように、腕を下ろした状態であればピンと来るのがもっと早かったかもしれません。第一印象=先入観を専らの認知症鑑別の主軸に置きながら、ちょっとした姿勢の違いに惑わされた実に初歩的なミス(思い込み)です。

現在の症状
この症例では以下の
・無言、無動(寝たきりにならないように、離床している)
・コミュニケーションなし(声かけにゆっくりと視線を動かす程度)
・四肢の鉛管様筋固宿(左上肢が特に顕著)
・嚥下障害(介助にて経口摂取可能)
・眼球運動麻痺(常時一点凝視、時々左右に動かす)

もはやこうなると、CBS末期で手の打ちようがないのですが、この状態になるまで78年経過しているようです。初期は、神経内科でアルツハイマー型認知症(ATD)と診断されていました。のちにデイケアを利用して、その後老健に2年間ほど居ました。この間に複数の医師と、多数の看護・介護スタッフの介在があったのに、相も変わらず、「初診がすべて」のようで、途中経過から診断が変わることがなかったようです。


CBSの初期にはATDと似た症状もあることから、ATDと間違えられることも指摘されていますが、症状が進行してもATDでは図のような姿勢にはならないです。症状の進行によってATDではなく、CBSだと分かったとしても有効な治療方法はないのが現実ですが、やはり適切な診断(鑑別)は必要でしょう。

「これがATDの末期なのだ」という誤った認識を持つことになりますし、医師のみならず看護師、介護士の知識向上にならないからです。認知症の初期では典型症状が出揃うことは少なく、どのタイプの認知症であるのか混沌としているものです。進行するに従って症状が出揃い、鑑別精度が上がってきます。この変化を継続的に観察することが重要です。ATDがずっとATDのまま、DLBがずっとDLBのままであるとは限らないのです。

残された希望
この症例でとても気の毒なのは、頻繁に面会に来る家族です。ATDではなくCBSとは知らず、面会の都度、持参した果物を食べさせ、四肢の固宿が進まないよう他動運動しているのです。
CBSPSPSも国指定の難病で治療方法はないとされ、ガイドラインではリハビリだけが唯一の対症療法とされています。

しかし、最近では、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(リバスタッチ)、グルタチオン、フェルラ酸(フェルガード)という選択肢が登場しているのですから、これらの併用を試みない手はないです。これらに期待するのは、声かけに反応すること、嚥下機能をこれ以上悪化させないこと(胃瘻造設の回避)です。どれだけの効果があるかは試してみなければ分からないのですが、何も手を尽くさないということが納得できないです。


2016/09/01

認知症は診療の邪魔?

認知症+褥瘡で入院、そして胃瘻造設となった症例


Fさん(80歳後半)は糖尿病です。褥瘡治療のため3ヶ月間の入院を経て経口摂取ができなくなり、入院中に胃瘻造設となりました。糖尿病があると、骨折では骨がつながりにくい、傷は塞がりにくいくらいのことは知っていますが、褥瘡治療の入院で胃瘻とは・・・
もしかしたら、認知症とドネペジルに起因する嚥下障害なのでは? 不審に思ったので解析してみました。

生活状況・症状
・歩き方は、ややワイドベースで足が上がらず摺り足歩行の前傾姿勢。転倒防止のため両手引き歩行。
 (正常圧水頭症(NPH)の症状かもしれない)
・甘い物好きで、面会時には必ずお菓子類を食べていた。
 (元々甘いモノ好きだったようです。家族が糖尿病の親に持ってくること自体が不適切)
・トイレに頻繁に行きたがる。すぐに対応できず、待つように言うと逆上して屁理屈を言う。
 (極めて理路整然としたことを言う。アルツハイマー型認知症(ATD)の言い分とは考えにくい)
・失禁なし。
 (前頭葉はまだそれほど萎縮していないのか)
・自分の思うようにならないと怒り出す。
 (ピックぽくもあるけれど、ただの癇癪か)
・時々、辻褄の合わないことを言う、妄想あり。
 (次第に頻度は増していたが、対応に困る程でもない)
・どことなく、唖然、呆然とした表情。
 (レビーの意識障害にも思える)
・会話は普通に成立する。(語義失語なし、非流暢性なし)
 (どこにでも居るようなおばあちゃんと同じ)
・近時記憶は正常範囲内。著明な記憶障害があるとは思えない。
 (「ご飯食べましたか?」と尋ねると、いつも正解を答える)
・ドネペジル(アリセプト)5mgを服用している。
 (どこの医者が出したか!)

以上のような「状況証拠」から推定されること
・正常圧水頭症(NPH)による認知症(治療可能な認知症のひとつ) 
 但し、失禁がないので、NPHの診断基準を満たさない。
・前頭側頭型認知症(FTD)
・レビー小体型認知症(DLB)
・レビー・ピックコンプレックス(LPC)

胃瘻造設の前にするべきだったこと
DLBまたはLPCの可能性は否定できないと思われます。ドネペジル(アリセプト)の服用を中止して、嚥下機能の回復を目的とするリハビリを実施する。何故なら、嚥下機能の障害はDLBに生じることがあります。だから、DLBにドネペジルが入ると嚥下障害はさらに酷くなることがあります。

歳を取って多重する疾患を抱えた高齢者で、なおかつ認知症が加わるともう終わりなのでしょうか。チーム医療はただの絵空事となります。医師にとって内科は基本中の基本であるように、その中に認知症も基本として組み入れないと高齢者医療は太刀打ちできそうもないです。

そもそも、この症例では入院時に糖尿病治療薬や抗認知症薬などが持ち込まれていました。加えて、褥瘡治療のため薬が追加されたのです。他の医療機関、あるいは主治医の専門外の薬剤については、医師と言えどもなかなか手を出せない(服用をやめさせること)ようです。

また、入院前、ドネペジルが処方されていたことから、ATDと診断されていたのでしょう。この時、歩き方からNPHを疑ってみなかったのかということも疑問です。(初診時よりずっと後になって、NPHを疑わせる歩行が生じたのか?)






「医療連携」ならぬ、「胃瘻連携」が後を絶たないです。・・・・・あの病院!
転ばないように介助してきたこと、褥瘡の原因となる低栄養状態にならないように栄養管理してきたこと、褥瘡が悪化しないように定期的に体位交換してきたこと・・・・、全部水の泡。
「褥瘡を生じさせるのは施設の恥!」と当該施設は考えているらしく、その予防には神経を使っています。それはそれで結構なことですが、認知症を悪化させないことにはまったくの無頓着というのは、今の時代にはいかがなことかと思う。

退院して、幸いにも施設に戻って来ることができました。臥床しているFさんに声をかけてみましたが、目を閉じたままで反応がありません。何度か声をかけると目を開けましたが、虚ろな目で呆然としており意識障害があるようでした。両方の腕を曲げ伸ばししてみると、鉛管様筋固宿がありました。翌日にも同じことを試みましたが、同じでした。DLBである可能性が高い上、寝たきりの全介助が必要、更に胃瘻もあります。少なくともドネペジルの服用は中止すべきでしょう。

コウノメソッドではこういう症例に、グルタチオン、シチコリン、フェルガード、レミニール(あるいはリバスタッチ)と有用な治療方法が示されているのですが、当該施設にはそういう選択肢はありません。「医療連携」の名の下に、何の疑問を持つこともなく、介護負担だけを請け負ってしまったことは残念です。

2014年、DLBへのドネペジル適用が認可されました。ここで示したような医療過誤と言っても過言ではない事例は増えてくるだろうと危惧されていました。